パルボウイルスVS漢方薬

先日「パルボウイルス感染症」の子犬を治療する機会がありました。点滴・注射・漢方薬。総力をあげての治療です。

血便と激しい嘔吐で、致死率の高いパルボウイルス。まずは体力の消耗を防ぐために血便を何とかしなくては。

激しい嘔吐がありますので、漢方薬を飲ませるわけにはいきません。そこで漢方薬を「お尻から注入」します。

今回は抗ウイルス効果のある「板藍根」、お腹の痛みを抑える「芍薬甘草湯」、出血をおさえ、炎症をやわらげる「黄連解毒湯」をドロドロにして直腸へ。治療2日ほどで血便が止まりました。

さて次は吐き気。水を飲もうとしても吐いてしまいます。

ここで登場するのが、人ではノロウイルスの嘔吐にも使われる「五苓散」。治療4日目に使用。翌日より水を飲めるように。

食事をとれるまでにはまだまだ時間がかかります。ここでは西洋医学がひと踏ん張り。ブドウ糖、アミノ酸、ビタミン、ミネラルを加えた点滴を血管の中へ。

栄養を補給した所で、ボロボロになってしまった胃腸の立て直しです。

治療7日目で手足が冷たく、循環が悪くなっていましたので、「真武湯」を使いました。漢方を飲んだ夜から食事を少しずつ取れるように。

お腹の負担を減らすために「ヤギさんのミルク」を使用。ここまでは毎日往診で、点滴と注射を続けています。

治療2週間ほどで、体力も回復してきました。子犬の下痢によく使う「黄耆建中湯」へ漢方を変更。1.3kgまで痩せていた体が治療3週間目には2.0kgまで復活!治療終了です。

1つの病気の治療に1つの漢方薬・・・というわけではありません。「そのとき、その一瞬の体調に合わせて薬を変えていく。」相手が強力な時は真剣勝負です。

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中西 遵

中西 遵広島県廿日市市 あじな動物病院 院長

投稿者プロフィール

動物のために漢方治療を始めたのは、ボロボロだった妻が漢方医の「風間先生」のおかげで元気になったことでした。私の慢性胃炎と口内炎も、先生の煎じ薬でキレイさっぱり。
それからは動物のために漢方・鍼治療・食事・・・できることが無いか日々精進。

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