愛犬にサプリメントを活用するべきですか?

結論から言いますと、サプリメントは活用すると良い場合もありますが、無駄になるだけの場合も多いと思います。無駄どころか、体に悪影響を及ぼす場合もあるのです。

実際、私も多くの飼い主さんに、ペットのためにサプリメントをお勧めする場面があります。目的は特定部位の栄養補給のため、体質改善のため、薬の補助的な働きをさせるためなどです。

そのような私でも、なぜ無駄な場合も多いと感じているか?重要なのは使っているサプリメントが本当に信頼のおける製品なのかどうかにかかっています。言い換えると、世の中には信頼できないサプリメントが氾濫しているからなのです。

あなたは、サプリメントに医薬品と同等か、あるいはそれ以上の“効果”“効能”を期待していませんか?

そもそもサプリメントとは、「栄養補助食品」です。つまりは食べ物に分類されます。普段から不足している、さまざまな栄養素を補うための食品なのです。医薬品との違いを大まかにいうと、医薬品は「病気を治したり、症状を和らげたりする目的・役割を持っている」のに対し、サプリメントは「病気を予防する目的・役割を持っている」のですね。

医薬品とサプリメントの違いはそれだけではありません。大変重要で大きな違いがあるのです。

医薬品は、日本では開発後様々な研究を行い、そして特許を取り、それに基づいて様々な動物実験を行い、さらには臨床試験(治験)を行います。有効性と安全性が確認された新薬は、国の機関で審査され、晴れて世に出る頃には開発開始から十数年、その開発費用は数十億から数百億と言われています。新薬に関するデータは、その頃までには天井まで積み上がるほどになるそうです。

ではサプリメントはどうでしょう?実験も治験も申請も認可も、何も必要ありません。基本的には医薬品成分が入っていなければ良いようです。そこが問題、それはもう大問題なのです。

例えば、動植物の天然成分を抽出してチョロッと加工、いかにも・・・な宣伝文句で大々的に販売されるものから、様々なデータを揃えたにも関わらず、国への申請をせずにあえてサプリメントとして世に出てくる“本物”まで多々あるのが実際です。

つまり大きな違いとは、体内に入った成分がどのように働き、どのような効果をもたらすか、そして“有効”なのかという数字を堂々と公表しているか(医薬品)、あるいはデータを持とうが持つまいが公表しなくてもいいか(サプリメント)、の違いですね。

実際は多くのサプリメントの会社が、自社製品のデータなど持っていないのが現状です。有効とされる根拠を示すデータの無いサプリメント成分、当然研究成果のデータなどを提出できないサプリメント会社の、根拠も無しに良いよと勧めてくる理由は何でしょうね?

業界がこのような状態ですので、多くのサプリメントに“効果”や“効能”など期待するのには無理があるのです。ご存知の方が少ないのですが、サプリメントは法律的に“効果”“効能”の宣伝を絶対してはいけないのです。

なぜあなたがサプリメントに“効果”や“効能”を期待してしまうのか?

それは多くのサプリメントが違法にも“効果”や“効能”らしきものを謳っているからです。騙されてはいけません。

私の病院に来る飼い主さんの中で、サプリメントを使っている方に理由を伺うと「本や雑誌、ネットで良く見るし、良いらしい」「知り合いが強く勧めてきた」大体の理由がこれらです。

サプリメント業界は詐欺師の巣窟です(あくまでも個人的見解です)。ご自身や知り合い、飼っているペットの健康面で深刻に悩んでいる方たちに、さわやかに詐欺師が忍び寄ります(あくまでも個人的見解です)。ワラにもすがる思いで“ブツ”に手を出してしまう被害者は後を絶ちません(当然あくまでも個人的見解です)。

そしてあなたは騙されたとは思いたくありませんから「使ってみると、何となく良いかな?」と、その高価な“ブツ”を使い続けてしまうのです。期待する効果が感じられなくて「量を増やせば宣伝されている“効果”が出るかも」と大量に消費して健康を害する場合もあるようです。以上は、私が確信的に想像するサプリメント業界の暗黒面です。それでもサプリメントを使ってみたい方はいますか?

獣医が納得するサプリメントとは?

確かに、中には本当に誠実に、確実なデータを取り、根拠と確信を持って自社のサプリメントを販売する業者もあります。このような業者からは医薬品とも見まがうサプリメントが手に入ることも実際にあるのです。ですが、残念ながら確実にその両者を見分ける方法など存在しません。

ところで、私は数あるサプリメントの中から、自分の基準で本物と思われる物を選択し、病院で飼い主さんにお勧めしています。なぜなら私たち獣医師には職業柄、色々なサプリメントに接する機会があり、選択の機会が与えられているからこそ、それが可能なのです。病院に直接売り込みに来る業者、宣伝に勉強会を開く業者、あるいは学会などにブースを設ける会社などの製品から選択します。

まずは謳い文句のみで宣伝し、データ無しの製品は当然門前払いします。ここまで読んでいただいたあなたになら、その理由がわかっていただけると思います。

次に論文か、少なくともある程度の数の病院からそれなりの数のサンプルデータを出してもらっている製品の中で、興味のある製品(特に現在病院に通っているペットの中で、既存の治療に満足できない子の症状の緩和に有効と説明された場合)の話だけをしっかりと聞き、副作用の情報もしっかりと確認してからサンプル製品をもらい、飼い主さんの許可の元で使用していただいています。

本当の基準はここからです。使用前の血液検査などのデータと使用後のデータを見比べ、確実に変化があるかどうか。何せ医者ですから、数字が大切なのです。

そして、サプリメントの場合は何よりも大切なことがもう一つ・・・。

それは数字に表れない体の変化を確認することです。こちらから無理を言って使っていただくサプリメント、いくらペットのためと了解を得たとは言っても飼い主さんには「与えるのは大変だし、先生の勧め方も自信無さげだし、眉唾・・・効果あればいいけど・・・」などと思われているかもしれない、それはもう、お互い期待半分以下ですよ。

で、一定の使用期間後の確実な体や行動の変化があったか、飼い主さんに恐る恐る伺うのですが。数字に出ないような変化を期待する場合は、すべての判断基準は飼い主さんの満足度にかかっています。そして今後お金を払ってでも使いたいかどうか、という飼い主さんの気持ちも一つの基準です。

つまり私のもう一つの重要な基準、それは飼い主さんが満足するか、言い換えると喜ぶかどうかなのです。当然、動物にはプラセボ効果などはありませんので反応は素直です。何度も言いますが、飼い主さんからペットを観察して明らかな変化、それも嬉しい変化があったかどうかが重要なのです。

これらのどちらかを数件確認して初めて、そのサプリメントを病院で安心してお勧めすることになります。以上が獣医師である私の判断基準です。

飼い主さんがサプリメントを選ぶ基準

それでは、これからあなたが今後ご自身、あるいはペットに使うサプリメントを選ぶ基準を私なりに提案してみましょう。

まず一つ目、かかりつけの病院の、信頼できる先生が自信を持って勧めてくるサプリメントです。親身になってくれているであろう、信頼のおける医者が勧めるサプリメントは、上記の事から使ってみる価値があるかもしれません。

二つ目、使ってみたい魅力的なサプリメントを見つけたら、その会社に研究データ(論文か、数字の入った資料)を請求してみてください。大抵は「社外秘です」などと出し渋るか、「使って嬉しい体験談話集」が送られてくる程度です。その会社はそれで終了。サプリメントは偽物です。

ではもし、「データをどうするのですか?」と聞かれたら、「かかりつけの病院の先生に見せて相談します。」と言ってみましょう。本当にデータをもらえたら、実際に信頼できる先生に見せて相談してください。

私たち医者は、体と薬の専門家です。専門家をも納得させるサプリメントであれば、使ってみる価値はあるのではないでしょうか。

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加藤孝行

加藤孝行北海道帯広市 加幸ペット病院 院長

投稿者プロフィール

ペットの健康と飼い主さんの心を大切に、一次診療と長骨骨折治療のエキスパートを目指しています。十勝管内の往診も幅広く対応させて頂いております。まずはお電話にてお気軽にお問い合わせください。

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